第5章 濡羽色(ぬればいろ)
「まー…君らなら、誰も文句ないんじゃない?」
「そおだね。うん。いいと思うよ?俺」
「くっついてんのは昔からだし、いいんじゃない?外にバレなきゃ」
ぽかんとしてる間にも、みんなは好きなこと言ってる。
「もう…恥ずかしい…」
大野さんが俺の肩に顔を埋めてきた。
「あ…ああ…」
片手で肩を抱き寄せて、顔を隠してあげたけど…
ヒューとか言われて…
マネージャーたちは更に弱り顔だ。
「昨日の誕生日だってラブラブだったんでしょう?」
「そうだよ…晩飯二人で食いに行って…」
「それからお家でケーキでも食べたんでしょ?どうせ」
なんでわかるんだ…
「ニノぉ…」
真っ赤な顔をして、大野さんが俺を見た。
「…そっか…」
「え?」
言われてわかった。
まるっきりこれじゃ、つきあってるみたいじゃないか。
いや…つきあってるのか!
うるうる俺を見つめてくる瞳の色は、透き通った濡羽色。
ちょっぴり赤くなった頬に、ぷるんとグロスを塗ったみたいな輝く唇。
「かわいい」
「えっ…??」
「大野さん、かわいいわ。あんた…」
「なっ…なんだよっ!突然っ…!」
「俺とつきあってくれる?」
「は?」
ぽかーんと口を開けたまま、俺を見てる大野さんが、たまらなく愛おしくなった。