第5章 濡羽色(ぬればいろ)
「きーまり!これからよろしくね!返事は!?」
口をぱくぱくしたまま、声が出てこない。
「あーあ…ちゃんと言ってなかったのかよ…」
「だめだぞお?ニノ」
「ほら、大野さん。ちゃんと返事しなよ」
潤くんがポンポンって大野さんの背中を叩いた。
「つ……」
「え?」
「もう…付き合ってるのかと思ってた…」
3人は爆笑し始めて。
笑いながら、俺たちから離れていく。
マネージャーたちに部屋を出るよう言ってる。
「え?え?」
「もう…ちゃんと二人きりにしてやるから…」
「ちゃんとしろやニノ!」
「ただし、ここではやらしいことすんなよ?」
「う、うん…」
みんなが出ていって、部屋のドアが閉じられた。
「あー…えっと、その…返事…」
「う…うん…」
もう、大野さん泣いちゃってる。
またその泣いた顔が、かわいい。
「俺…その…」
「うん…」
「ニノと…」
「うん…」
「つき…あう…」
がばっと俺に抱きついてきた。
「…ありがとう…大野さん…」
「ニノ…」
「ありがとうね…本当に…」
ゆっくりゆっくり背中を撫でた。
大野さんの身体、ありえないほど熱くなってたから…
本当は、緊張しいで…
すぐ真っ赤になっちゃうのに。
いつも隠してるんだよね…
そんなとこも、なんだか今になってはかわいいって。
そう思ってしまった。
「重症だな…」
「え?」
「なんでもない…」
大野さんが身体を離して、俺の顔を覗き込んだ。
「ニノ…」
「大野さん…」
唇を近づけた瞬間、楽屋のドアが開いた。
「わあっ…」
「ひゃああっ…」
入り口から3人が顔を出した。
「言い忘れたっ…」
「な、なんだよ!」
「「「大野さん、お誕生日おめでとう!」」」
ハッピーバースデー…
俺の、大野さん
プレゼントは、俺ね?
【END】