第5章 濡羽色(ぬればいろ)
「…なに?」
俺と大野さんが手を繋いでるんだけど…
それがなんだっていうんだ?
「え?まじでわかんねえの?」
「うん…なに?なんかおかしい?」
相葉さんが首をすくめながら、ソファに座った。
「こいつら、自覚なしっすよ」
「だなぁ…」
「そう…みたいだね…」
じとーっと3人に見られて、ますますわけがわからない。
「なんなの…?」
大野さんも俺と3人の顔を見比べて、困り顔をしている。
「なんで恋人繋ぎなわけ?」
潤くんが文庫本に目を落としながら言う。
「…は…?」
「え?」
よくよく手を見たら、確かに恋人繋ぎになってる。
「こ…恋人!?」
ぼふんと顔が赤くなるのがわかった。
「え…?え…?」
大野さんも真っ赤になってる。
「自覚、まじでねえんだな…」
「昨日の誕生日…ふたりきりで何してたんだか…」
「ほんとよねえ。奥さん…」
3人はてんでに、台本見たりの作業を始めてしまった。
「な、なんもしてねえよ!」
「そっ…そうだよ!なんもないよっ!」
なんかあったのは、その前の日で…
昨日は断じてなんにもしてないっ
「じゃあなんで手、繋いでるの?」
翔ちゃんのツッコミに、なんも答えられなかった。