第5章 濡羽色(ぬればいろ)
「おはよー」
「おはよーございまーす」
大野さんの誕生日の翌日は、麹町のスタジオで全員で収録だった。
いつも火曜日はメンバー全員揃う収録の日。
送迎車を降りて、セキュリティゲートを通って。
楽屋までの廊下を歩いていたら、前方に相葉さんが見えた。
「あ、おはよ」
俺たちに気づいて振り返った相葉さんは固まった。
「おはよ。え?どしたの?」
「おはよ…?相葉ちゃん?」
しばらく立ち止まって俺たちを見てたけど、ぶんっと頭を振って歩き出した。
「え?ちょっと…?どしたの?」
「なんでもない」
「なんでもなくないでしょうよ…」
「いいから。早く楽屋行こう」
楽屋に入ったら、翔ちゃんと潤くんがすでにメイクを終えていた。
「おはよー…」
「おざーす…」
潤くんも翔ちゃんも、俺たちを見て固まった。
「え…おはよ。どうしたの?」
相葉さんが、俺たちの背中を押して、楽屋に入ってきた。
「はいはい。早く入って」
「え?え?」
マネージャーたちも、しょうがねえなって顔して一緒に入ってきた。
「え…?なに…?」
「何って…おまえら…」
翔ちゃんが指さしてきた先には、俺たちの手があった。