第5章 濡羽色(ぬればいろ)
嬉しくなって、首筋に唇を這わせたら、もっと甘い声が聞こえた。
「あ…ニノ…」
大野さんの手が、俺の背中を滑り降りた。
背筋を指で辿るように撫でると、ぞくぞくが這い上がってくる。
ぶるりと震えると、大野さんは嬉しそうに笑った。
「そう…笑って…?」
「え…?」
その顔が、好きなんだ。
「もっと、あなたが笑ってる顔…見たい…」
照れたように顔を逸らす大野さんの頬は真っ赤だった。
「ばか…」
顕になった首筋にまた唇を這わせた。
筋を辿って舌を這わせたら、ぶるっと大野さんの身体が震える。
耳にちゅっとキスをして、見上げた大野さんの顔を見つめながら、スエットの上着に手を入れた。
下に着てるTシャツを引っ張り出して、更にその下にある滑らかな皮膚に触れる。
暖かくて、指先が気持ちいい。
そのまま脇腹を指先で滑らせて撫でると、大野さんの手も俺のスエットの上着に入ってきた。
同じように素肌に触れて、指を滑らせるように動かす。
「ん…気持ちいい…」
「ほんと…?」
「ん…いい…」
そう言うと、大野さんがまた笑ってくれて…
こつんと額と額をくっつけたら、大野さんの手が上着から出ていった。