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カラフルⅤ【気象系BL小説】

第5章 濡羽色(ぬればいろ)


「ん…?」

唇をつけながら呼びかけに応えると、ぎゅっと俺を抱きしめる腕に力が入った。

「忘れたい…」
「え…?」
「忘れても、いい…?」

俺で…忘れたいってこと…?

「いいよ…」
「ニノ…」
「いいに決まってる」

ぎゅっと俺も抱きしめ返した。

「忘れろよ…」

そんな苦しいこと、忘れたっていい。
理不尽に傷つけられたことなんか、覚えてる必要ない。

「こんなことで忘れられるなら…いくらでもしてあげる」

少し驚いたみたいに目を見開いて…
それから大粒の涙を零した。

「うん…嬉しい…」

泣いてる間も、いっぱいキスした。
顔中にキスして、しょっぱい涙にもキスした。

いっぱい泣いて、泣いて…
泣き止む頃には大野さんの腕が俺の首に回しかけられて。
引き寄せられて、また唇が重なった。

やっぱり柔らかくて、熱くて…
水分をたっぷり含んだ唇に吸い付いた。

誘うように少し開いた唇の隙間から舌を差し込むと、大野さんの舌がすぐに迎えに来て。

「ん…ん…」

甘ったるい声がまた聞こえて。

どうしようもなく、また興奮してしまった。
背中を擦る手に、別の意思が籠もる。

「あ…」

脇腹を擦ると、更に甘い声が聞こえた。

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