第5章 濡羽色(ぬればいろ)
「ニノ、ゆっくり休めよ」
「智くんも…確か、火曜まで休みだよね?」
「えっまじで!?俺も行こうかな…」
相葉さんがマネにスケジュールを確認してる間に、脱兎のごとく大野さんはスタジオを抜け出した。
「あっ…ちょっ!大野さんっ…」
「うるへー!来るなっ…」
なんとか俺だけ追いついて、大野さんの送迎車に乗り込んだ。
「マジで来るの…?」
「うん。パンツ持ってきた」
「嘘…」
どすっと大野さんの隣りに座って、かばんからぱんつを取り出して見せてやった。
「マジか…」
「マジだ…」
不貞腐れたように座席に深く腰掛けると、俺に寄りかかってきた。
「もー…勝手にしろよ…」
ぱんつが一枚あれば、あとは大野さんの服を拝借すればいい。
洗濯するのは大野さんだから、(俺的に)問題ない。
「勝手にしまーす」
あれから、お家には行けてなかった。
なにせ、年末進行でスケジュールがギチギチで。
だからふたりでゆっくりするチャンスもなかったんだよね…
大野さんちの近くのコンビニで下ろしてもらって、食べ物とか飲み物を買って大野さんのマンションへ帰った。
「たっだいまー」
俺んちでもないのに、真っ先に踏み込んでリビングで伸びた。