第5章 濡羽色(ぬればいろ)
順番にお風呂を借りて、終わったらシャツとか洗濯機にぶちこんで、洗濯開始。
寝室にそっと忍び込んで、クローゼットを漁って、4人分の服もゲットした。
待ってる間、リビングのラグの上やソファで仮眠を取って。
大野さんが起きてくる頃には、みんな大野さんちに住んでる人みたいになってた。
「…え…っと…?」
寝ぼけたままの大野さんは、事態が飲み込めていないようだった。
「いろいろ、勝手に使わせてもらったから」
「う、うん…」
なんでまだいるの?って顔されたけど、知らない。
「さ、朝ごはん。食欲ないんだったら、先にシャワーしておいで?」
「え…」
「ほら、早く。行った行った」
「ちょ、ニノ…」
強引にサンドイッチを食べさせると、そのまま風呂にぶち込んでやった。
訳がわからないって顔してたけど、知らない。
シャワーが終わって帰ってきて、やっぱり大野さんはなにか言いたげな顔してる。
でも、知らない。
「はい。水」
「…ありがと…」
水のペットボトルを握らせて、リビングのソファに座らせた。
みんなそれぞれ、ゴロゴロしながらそれを見てる。
「あの…」
「ん?」
「いや…なんでもない…」