第5章 濡羽色(ぬればいろ)
「智くん…」
「ごめん…もう大丈夫だから…」
「何いってんだよ…そんな青い顔して…」
「なんでもないから…」
そう言って自分の席に座り込んだ。
「…酒なら、いつでも飲めるよ?」
「でも…今日っていう日は、今しかない」
「大野さん…」
「ごめん。もう大丈夫だから…」
また、頑固に言うから…
みんな、黙り込んでしまった。
誰も、こうなってしまった大野さんを止めることはできない。
でも、こんな状態のまま、ここに居たっていいわけない。
「…大野さん」
みんなの顔を見て、立ち上がった。
「会計、もう済ませてある」
翔ちゃんが大野さんの顔を見ながら言った。
「ありがと」
「車、今お願いしてるから」
潤くんも大野さんの顔を見ながら言う。
「わかった…4台頼んだ?」
「時間掛かりそうだから、マネに1台お願いしてある。すぐ着くと思う」
さすが、手回しがいい。
「おーちゃんち行こうか?みんなで」
相葉さんの提案に、みんな乗った。
「じゃあ、そうしよう。それでいいでしょ?智くん」
「でも…」
「俺たちの誕生会、ここで終わらせたくないんでしょ?」
そういうと、こくりと頷いた。
「じゃあ、続きは智くんちでね」