第5章 濡羽色(ぬればいろ)
思わず4人で目を合わせた。
「雅紀…」
「わかった…」
翔ちゃんが目配せすると、相葉さんは個室を出ていった。
「潤、手…」
「うん。俺は平気…大野さんが…」
「ああ…」
翔ちゃんと潤くんは、呆然として出口を見た。
「ちょっと、俺も見てくる」
「ああ…頼むな、ニノ…」
俺も個室を飛び出すと、すぐ近くにあるトイレに向かった。
ドアの前で、相葉さんが立ち竦んでた。
「どう…?」
「なんにも反応ない…」
ドアをノックしてみたけど、中にいる気配はするけどなんの返事もなかった。
「大野さん…?開けて?」
無駄だと思ったけど、俺もノックをしながら話しかけてみた。
「しんどいんなら、帰ろうよ?ね?俺、一緒に帰るから」
相葉さんが言っても、中からはなんの返事もない。
結局、10分ほどトイレの前で待ってたら、やっと大野さんは出てきた。
「ごめん…ちょっと…」
そう言ったまま、言葉が続かない。
「…帰ろ?送るよ…」
「いや、大丈夫…」
「でもそんな真っ青な顔でっ…」
「ごめん…ほんと、なんでもないから…」
ふらふらと歩いて、個室に戻った。
翔ちゃんと潤くんは戻ってきた俺たちを見て、立ち上がった。