第1章 バニラ
「俺でオナって気持ちよかったんでしょ…?」
眼の前にはニノのパジャマの腹しか見えないけど、冷たい声は頭上から降ってくる。
「だったら俺のこと気持ちよくしろよ」
ぐいっと少し引いたかと思うと、また戻ってくる。
「ぐっ…」
「ああ…やべ…気持ちいい…」
そのままニノは腰を引いたり押したりして、俺の口の中を暴れまわってる。
「ねえ…大野さん、気持ちいい…」
いや、待て…待て待て待て…
おまえ何をやってんだっ…
「んがーっ…」
「少しでも傷つけたら…」
ぐいっと頭を持って、もっと口の奥にねじ込まれた。
「俺でオナってたこと、みんなにバラす」
なに渡海みたいなこと言ってんだよぉっ…
「バラされたくなかったら…わかってんだろ…?」
また少し腰を引くと、ぐいっとまた奥に押し込まれる。
「ん…いい…ねえ、舐めて…?舌使って…?」
今度は甘えたような声を出す。
もう、なにがなんだかわからない。
一体これは誰なんだ。
ニノの姿を借りた悪魔か。
いや、こいつもともと悪魔っぽいし…
「ねえ…俺のことイかせてくれたら…」
悪魔が頭上で囁いた。
「大野さんも気持ちよくしてあげるよ」