第4章 バッカス
「大体だよ…?なんでこんな毎日見てたような、見慣れた顔で勃起すんのよ…」
「え?だって結婚したら、そんなもんじゃねえの?」
「うわ…ニノって新鮮じゃないと勃たないの?」
「そうは言ってないだろ!」
なんだよ…そういうのとはまた別だろうが。
「大変だなあ…ニノと付き合う人…」
「ああ…だから、長く続かねーのか…」
「あっ…翔ちゃん!そのとおりだ!」
「違うって言ってんでしょうがっ」
何を言ってもおじさんたちは聞いてくれない。
床に座って、ローテーブルを囲むように飲んでるけど、だんだんおじさんたちは団結して俺の向かい側に移動していく。
「大体…ホモじゃん…」
「だからバイだって」
「一緒だわ!俺にしたら!」
「俺もバイなのかなあ…?」
「は?」
持っていたワイングラスを落としそうになった。
「な、何いってんの?大野さん」
「だって…俺、翔ちゃんなら行けるわ…」
「え?」
「うん…多分、勃つ」
なんつって、大野さんはじっと隣に座る翔ちゃんを見つめた。
翔ちゃんも逃げないで、大野さんの顔を見てる。
「ばっ…ばっかじゃないの!」
ローテーブル越しに怒鳴ってみたけど、ふたりは見つめ合ったままだ。