第4章 バッカス
そんなに遠くなかったけど、ひたすら無言で歩いた道中は長かった。
マンションについて鍵を開けて入って、リビングに2人を通すと、どっと疲れた。
「とりあえず、空車情報…」
翔ちゃんがスマホを出して、検索してる。
大野さんはぽやんとただ座ってて。
まあ、機械音痴だからしょうがない。
「だめだ…全然ない…」
「そっか…」
テレビもつけてなくて、リビングはしーんとした。
大野さんも翔ちゃんも、なんだかもぞもぞして座ってる。
かくいう俺も、なんだか落ち着かなくて…
もう、この雰囲気が居たたまれない。
なんだか生々しく音まで聞こえてきたアレが脳裏に蘇ってしょうがない。
相葉さんに…潤くんが…
ったく…!
俺たちが帰るまで我慢できなかったのかよっ…
ケダモノ!
「…いつから付き合ってたのかなあ?」
「えっ」
大野さんが俺の懊悩なんか知らないとばかりに無邪気に話しだした。
「だよね…言ってくれればいいのに」
「水臭いよねえ」
って、なんであんたたち、ほもせっくすみてそんなに冷静なんだよぉ!
「の…飲もうかっ!」
「えっ…ニノ?」
最悪泊まればいいし。
どーせタクシーなんて、こんな週末なんだから捕まんないだろうし。
飲んでやれ!