第4章 バッカス
慌てて荷物を掴むと、そのまま2人を引きずるようにして玄関に向かった。
「潤くん!俺たち帰るね!お邪魔しましたっ…」
洗面所の戸に向かって声を掛けたけど、返事はなかった。
ほっといたらまた出歯亀しそうで怖かったから、むりやりおじさん組も引きずって潤くんのマンションを出た。
「あー…ビビった…」
外に出て、冷たい風に吹かれてやっと翔ちゃんは正気に戻った。
「…あれってえっち…」
「わー!わー!帰ろう!帰って寝よう!」
大野さんがとんでもないことをいいだしそうだったから、無理やり歩き出した。
慌てて大通りに出てタクシーを捕まえようとしたけど、週末だからなかなか空車が捕まらない。
一台だけやっと捕まって、無理やり後部座席に3人詰め込んだ。
「どちらまで…?」
「あ。麻布のほうまで!」
思わず俺の家を言ってしまった。
まあいいや。
先に帰らせてもらおう。
落ち着いたら、さっき見た光景をまざまざと思い出してしまって。
翔ちゃんと大野さんと目を合わせることができなかった。
なんか座席も狭いし、3人でもぞもぞしながら俺の家まで無言だった。
やっと着いて、車から飛び出そうとしたとき翔ちゃんが口を開いた。