第1章 バニラ
そのまま、リビングのソファで横になった。
目が冴えてなかなか寝付けなかったけど、そこは俺。
ぐっすりと眠った。
…のさん…おお…のさん…
ニノの声が、夢の中でも聞こえた
あ…この香り…
なんの香りだろう…
「ん…」
カーテンの隙間から陽の光が差していた。
「何時だ…?」
時計を見ると、まだ朝の7時。
こんな時間に目が覚めることはないのに。
もそもそと身体を起こして、寝室に向かう。
足音を潜めてドアを開けると中に入った。
窓のない部屋だから、外からの光は差してない。
フットライトが自動で灯って、足元を照らしてくれる。
そっとニノを覗き込むと、ぐっすりと眠っているようだった。
布団を豪快に蹴り出してたから、布団を直してやろうとした。
「ぐ…」
パジャマの一番上のボタンが外れてて、首筋から胸元まで大きく開けて、白い肌が見えていた。
なんだか艶かしくて、直視できなかった。
「おっかしいな…」
俺に…そんな趣味あったんだろうか…
なんとかちゃんと布団に入れてやると、急いで寝室を飛び出した。
「無理…無理…」
最近、一人でもしてなかったし…そういうことも女としてなかった。
きっと溜まってるんだ。
だからこんな変な気分になるんだ。
「無理無理無理…」
こういうときは、さっさと抜くに限る。