第3章 アリストテレス
それからチーフが夜食を買ってきても、俺が食い終わっても、潤の没入は止まらなかった。
「あ」
食後のお茶を飲んでいると、潤が声を上げた。
「ねえっ…翔くん!翔くんっ!ここさ、思い切ってでっかいフィギュアみたいなの入れない?」
「え?へ?」
潤はコンサートの進行表を指さしながら、熱弁しだした。
「金爆のさ、コンサートであるじゃん?ダンボールで作ったやつ。ああいうの!いや、流石にダンボールじゃ作らないけど!なんかでっかいの!ここで登場させてさ…」
「お、おう…?」
もう、目がキラキラしちゃって…
俺が金爆さんのコンサートの映像みたことないかもしれないってこともスポッと頭から抜けて、語る語る。
だからそっとタブレットを取って、金爆さんのコンサート映像を探したさ…
「んー…でもよ。それを格納しておけるスペース取れんの?ただでさえ、バックスクリーンでかいんだぞ?」
「そこはなんとかしてもらって…」
「してもらってじゃねえよ…」
まあ、この段階では潤が夢想を語っているだけだから。
実際にここにスタッフさんがいたら、大変だけどね。
「じゃあフロートをでっかいフィギュアっぽくするのは?」