第3章 アリストテレス
さらにそこから話し合いが進んで、結局打ち合わせが終わったのは、深夜の1時を回っていた。
「おお…肩がゴキゴキだ…」
「明日マッサージでも行こうかな…」
口々に疲れたと言いながら荷物を片付けている。
俺はというと、隣に座る男がまだなにか考えている様子だったから、席を立てずにいた。
「おい、潤」
「んー?」
マスクをちょっとずらして、書類に見入っている。
「まだなんかあんの?おまえ」
「うん…ちょっと、ここ…」
そう言ったまま、また書類に見入る。
もう夢中になると、周囲のことなんか目に入らないんだよな。
コーヒーをちびちびと飲みながら、様子を伺っていると、案の定没入してしまった。
だめだこりゃ。
「翔ちゃん、帰らないの?」
雅紀が声を掛けてくる。
「んー。もうちょっと」
「そっかあ。じゃあ俺、先に帰るね~あと、よろしく」
「おう。おつかれ」
雅紀はバッグをひっつかんで帰っていった。
「私も失礼しますわ。翔ちゃん、頼みますね?」
ニノも潤を見て苦笑いしながら帰っていった。
「おつかれ~…」
大野さんは俺を見て、手を拝むようにして言葉少なに部屋を出ていった。
ま、みんなわかってんだよね。
こういう状態になった潤をほっといたらだめだって。