第1章 バニラ
急いで風呂に入って、バスタオルだけ腰に巻いてリビングに戻った。
ニノはダイニングで大人しく座っていた。
ホッとして近づくと…
「ん!?」
酒…ビールの空き缶がテーブルに転がってる。
「おいっ…!」
肩を掴むと、ふにゃっと俺に凭れてきた。
「おまえ、あれ程言ったのに!飲んだのか!」
「おーのさぁん…」
「ばかっ…」
見たことないくらい、ふにゃふにゃしてて…
ああっもうっ!
「ひとつしか飲んでないよお~…」
「ばかっ…十分だろ!?」
どうしよ。水のんでアルコール薄めるか…
それとも吐かせるか…
「ん…?」
さっきの不思議な香り…
風呂に入ったのに、強くなってる?
そんなこと思ってたら、ニノの身体から更に力が抜けた。
「おいっ…おまえ、寝るんじゃねえっ」
「らってぇ…ねむい…」
慌てて肩を持ってガクガク揺すってみたけど、ニノの目は完全に閉じてしまった。
「おお~い…」
俺のほうが泣きそうになった。
しょうがないからそのまま寝室に運んでいって、ベッドに寝かせた。
「どうすんだよ…これ…」
とにかくニノを元に戻す方法を考えないといけない。
回らない頭をガシガシと掻いてみたけど、手に水がつくだけだった。
「あ、やべ服…」