第1章 バニラ
「だって、こんなの夢じゃない…寝たらきっと…」
「ばか!今、身体は子供なんだぞ!酒なんか飲んだら…」
「だから!だから飲んで眠りたいっ…」
「ニノぉ…」
もう弱り切ってしまった。
どうやったら寝かせられるかな…
あ、風呂のお湯ためたまんまだったな。
「とりあえず、風呂入ってこい?な?」
「ううう…」
ぐずぐずしてるニノをなんとか風呂に入れて、軽く夜食を作った。
「おじやなら食えんだろ…」
好き嫌いが多いけど、コメなら食えるはずだ。
出来上がったら、ニノが風呂から上がってきて。
バスローブのままリビングに戻ってきた。
「おい。たまごおじや作ったから。これ食ってろ」
「え…いいよ…」
「だめだ。腹減ってるから絶望的なことしか考えないんだろ。しっかり食え」
ダイニングテーブルに鍋と小皿を持っていって、ニノを座らせた。
「いいか。全部食えよ」
「大野さん。酒…」
「だめだっつってんだろうが。おまえ、どう見たって中学生だぞ!?」
もともと酒には弱いくせに。
「これ食ってろよ?俺、風呂入ってくるから…」
「うん…」
水のペットボトルも出しておいて、俺はすぐに風呂に向かった。