第3章 再会
クラス全員から一斉に顔を向けられたのは、もちろん幸村だった。
なんと声をかけようか、どう返せばいいのか、顔を向けた側も、向けられた幸村も口を開けずにいた時、始業式へ移動するようアナウンスが流れた。
話題を振ってしまったクラスメイト達も気不味く感じていたのか、それ以上は深追いをせず、静かに講堂へと移動を始めた。
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幸村side
いつもはすぐに終わる始業式も、今日ばかりは長く感じられた。
常勝を掲げていた我が部が準優勝という結果で表彰されたことも以前の自分であれば悔しかっただろう。
しかし、今はそんなことなんてどうでもよかった。
「幸村、あまり気に病むことはない。負けてしまったことはお前だけではなく、我々全員の弱さだ。部長だからとお前ばかりが責任を感じることはない。」
みさとのことを考えていたが、表彰のことを気にしていると思ったのだろう。
真田なりの励ましを受け、素直にお礼を言っておく。
すると周りにいた部員達がざわつき始めた。
なんだ、俺がお礼を言うのがそんなにも珍しいか?
お望み通りの反応をしておこう。
「でも…そうだな、確かにこれは俺たち全員に責任があること。今日の放課後は特訓でもしてもらおうかな?」
俺の一言に一瞬にして黙り込む面々。
「ゆ、幸村くん、今日は始業式だぜぃ……?」
「そうッスよ!今日は休みッスよね!?」
「……ピヨ」
仕方ない。
今日はみさとと話をしたいし、いじめるのもこれぐらいにしておくか。
「仕方がないな。俺も今日は用事があるんだ。今日はお休み。」
また騒ぎ出したチームメイト達を余所に、俺は教室に戻った。