第8章 8
話しかけてきた女子を黙って見ていたら、隣の席に座ってきた。
「あなた桜木さんだよね?」
「ええ。」
すごいな、この人。
私はクラスメイトの名前、まだ片手で数えられるくらいしか覚えてない。
そもそも興味ないしね。
「話したことない人から名前呼ばれたら不審よねー。はーい、自己紹介しますね。塩田彩です。よろしくです」
手を差し出された。
じっとその手を見つめる。
「そんな見つめないでー。あなたみたいな綺麗な顔の人に見つめられると動揺しちゃうー」
背中をばしばしと叩かれる。
痛っ!
ぴりっと痛みが走る。
軽く叩かれたそこは、昨日の夜に雄也に蹴られたところだった。