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氷の少女

第2章 本章~決意~


祖母に言われたすぐあと、シャイニング事務所の人がやってきた。
2人、と言う事は社長と秘書か何かだろうか。

「ようこそ。音妓家へいらっしゃいました」
「あらあら。この子が奏ちゃんね」
「音妓奏。君で間違いないよね?」
「はい」

一人は温和そうな女性ともう一人は青い髪の男性。
若干その威圧感に押されそうになったが、すぐに姿勢を正した。
ここで退くわけには行かない。

「どうぞ、中へお入り下さい」

あたしはなるべく平静を装って扉を開ける。
二人が入るのを見てからあたしも入り、扉を閉める。
早速女性の方が待ちきれないといった感じで本題に突入した。

「今日は貴女にお願いがあったここに来たの」
「お断りいたします」
「まだ何も言ってないじゃない」
「お話は祖母から伺っております。事務所のほうにあたしを引き入れたいとの事」

言われる前にあたしはさらさらと聞いた話を口にする。
あくまで丁寧に、物腰柔らかく。

「ですがあたしはアイドルに興味もありませんし、何よりこの音妓家を
出るわけには行きません」
「え~?なんでよ?」
「音妓家は由緒正しき家柄です。あたしはただ楽器を弾くだけです」

それは半分自分に言いきかせていた。
ただ楽器を弾くためだけにここに存在すればいい、と。

「でも、音妓さんのご家族でも有名な歌手だっているでしょ?」
「それがその人たちの楽器だからです。あたしの楽器は主に弦、木管楽器」

その二つがあたしの弾く楽器。
だからそれ以外は許されない。

「さっきから音妓の事ばかり気にしすぎじゃないの?」

不意に口を挟んだのは今まで一切喋らなかった男性だった。
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