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氷の少女

第2章 本章~決意~


自分の部屋であたしは空を見上げた。
心地よい風が吹き込み、気持ちが落ち着くようだった。

「春風の中 君は空を見て泣いた 君は何を想い 誰を想った?」

軽く口ずさむその言葉は、簡単な歌。
ただ思った事を思いついたリズムで奏でるだけの歌。

だけどあたしは忘れていたのだ。
風を感じていたというのに窓を開けたままだったということを……。

気付いたときには既に遅かった。
ふと下を見れば誰かが立ち止まっていた。
音妓家の人ではないことは確かだが、あの距離まで聞こえるとなると……

「奏」

後ろから静かな怒りを感じた。
あたしは聞こえないように軽くため息をつき後ろを向いた。

――やっぱり……。

予想通りの人が予想通りの形相をしていた。
例えて言うなら般若のような見方によっては悲しむような……?

「奏。私が何故ここに来たのか、分かってますね?」
「……はい」
「今後この様なことがないようにしなさい」

あたしは黙って反省を表する礼をして退室するまで頭を下げていた。
あたしの行動はかなり制限されていた。

全て音妓家の評判を落とさないため――。
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