第2章 雨上がりの空
アラーム音よりも早く目が醒め、部屋の中を見渡す。ソファに丸くなって眠る男性。…ああ、夢じゃないのね。
そんな事をぼんやり考えつつも出勤前の朝は待ってはくれない。一松くんの分の朝食を準備して、書置きをする。
『おはようございます。私は仕事なので向かいますが、朝食を作っておいたのでお腹が空いてれば食べてください。p.s. 鍵は鉢植えの下に入れておいて下さいね。』
よし、これで良いかな。奇妙な出逢いだったけど、悪いものじゃなかった。目が覚めて、誰かの寝息を聞いて、自分以外の人のご飯の準備をする。…少しだけ、楽しかったかも。
眠る彼を後ろに「行ってきます。」と呟くと家を出た。
〜 一松side 〜
「……ん、…よく寝た…。」
目が醒めると白い天井。一瞬目を疑うも昨日の事を思い出しては、夢では無いのだと思い直す。当の本人はベッドには居ない。…仕事か?辺りを見渡すと、テーブルの上に目玉焼きとウィンナー、握り飯。それと、書置き。
如何にも女の子、て感じの文字。一瞬頬が緩みそうになるのを堪えて、目を通す。……普通、昨日会ったばかりの男に鍵を託すか?俺が言うのも可笑しな話だけど危機感無さすぎ。それとも、無害と思われてる…?
用意して貰った朝食を食べながら今後の事を考える。働く…、にしても住む場所が無いし、住み込みにしてもやれる気がしない。あー…、こういう所なんだよな。やる気も湧かない生きるゴミ。
………あ、…そうだ。此処に置いてもらえないかな。…いやいや、絶対無理。彼女に何の得もない。働きもせず、食べるもん食べて寝て過ごすなんて厄介者でしか無いし。
ふっ、と目に付いたのは猫雑誌の数々。…猫、好きなのかな。羨ましい、俺の事も飼ってほしい。こんな俺にも優しいんだから、飼い猫をべたべたに可愛がるに違いない。
「…あー、…どうしよ。」
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「あれぇ、先輩ご機嫌じゃないですかぁ?」
「ふふ、そんな事ないよ南ちゃん。」
後輩の女の子に浮かれている事を指摘されるくらいには、機嫌が良いらしい。そりゃあ、久々に人がいる家を出たんだもの。なんだか楽しかった。お弁当のタコさんウインナーが物語っている。