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猫、拾いました。【一松長編】

第1章 雨降りの街灯



雨降る帰り道、傘を差して夜道を歩いている。
今日も今日とて、残業日和。


「あ〜…、今日も働いたぁ。」


独り身の私には急いで帰る必要も無ければ、家で待っている可愛いペットもいない。それなら残業してお給料多く貰った方が得なんじゃないか…、なんて疲れた思考回路ではまともじゃない事を考える。


ふっ、と少し先の街灯に目を向けると足の様な物が見える。正直見えてはいけない類のものかと思い遠巻きに歩きつつも、人間の好奇心には逆らえず視線を向けてしまった。


……酔っ払い?…流石にこの雨の中ゴミ捨て場で一夜を明かすのは心許無くない?明日冷たくなってました、なんてニュースみたら夢見も悪い。恐る恐る歩み寄りその人の肩を突く。


「……んん、」
「…あの、…大丈夫ですか…?」
「ふひ、…平気に見えんの。」


なんだこの人。酒臭い。よく見ると頬も赤らんでるし心成しか上機嫌にも見える。声掛けるべきじゃなかった…?


「…帰らなくていいんですか?雨、…こんなに降ってるから風邪引きますよ。」
「……帰らない。」
「ええ…?なんでですか…。」
「………。」


無言を貫かれる。…どうしたらいいの。放っておくべき?でも、祟られても困るし…。


「うち、来ます?」
「……は?」


こいつ正気か?て顔してるけど、私も内心動揺中。まさか、見ず知らずの男の人を、家に招き入れるなんて正気じゃない。


「ほら、立ってください。こんな所に居たら私も風邪引いちゃうし。」
「………。」


そこまで酔ってはいなかったのか、肩を貸せば歩けるくらいで安心した。…私、強引に進めすぎかな。でも、…なんでか放っておけないんだもの。仕方ないよね。


家に到着するとあたふたする彼を脱衣所に放り込んで、シャワーを浴びる様に伝える。その間に彼の衣服一式を乾燥機にかけて、変えの衣服を置いておく。…下着は、乾くまで我慢してもらうとして部屋着は元彼のジャージでいいかな。


「お兄さーん、洋服置いておきますけど、下着は乾くまで待って下さいね。」
「…っ、え、…あ、…はい。」


吃った声を聞き入れると、吹き出してしまった。しまった、と思った時にはすでに遅く、シャワールームは無言。あちゃー…、機嫌損ねちゃったかな。


少し窮屈そうに出てきた彼の表情は唇を尖らせて面白くなさそうにしている。

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