第2章 吉原
美「まぁ、勝手に門を出入しない事だね、他にも吉原には沢山のルールがあるよ。全部覚えてもらわなきゃ困るから、出来るだけすぐに覚えてくれよ」
美奈子は強引な言い方だったがその裏には優しさも莉奈には見えた。
美「お前さんは最初下っぱ遊女さ、下っぱ遊女は皆で集団で生活をする…寝る時も大部屋、食事も大部屋さ。それが嫌なら客を沢山取って花魁になる事。」
『花魁になれば、何か良い事はあるのですか 』
美「そうだね、個室が貰える。そこで自分の仕事から何もかもが自分の個室で出来るってことさ…せいぜい頑張りな。今から戻るよ」
美奈子が早足で戻ろうとする
『どこにですか 』
美「決まってるじゃないか…私達の仕事場(家)にさ」
『… 』
莉奈は早足で歩く美奈子の背中を追う
吉原に雨が降ってきた
『吉原…今日は悲しい雨… 』
美「なんか言ったかい?」
『いいえ、何でもありません。行きましょう 』
そう言うと吉原の空は暗い雲が覆っていて大粒の雨が降り出している、所々では雷の音がゴロゴロ聞こえる
この天気全てが莉奈の色々な感情を表しているようにも見える。