第7章 悲しい出来事
亮「莉奈を早く出してあげたいです。こんな地獄から」
美「うん…でも私達にとっちゃあまり出したくもない存在なんだよ」
美奈子は申し訳なさそうに控えめ気味に言う
亮「どうっ!!!……どうしてっ?」
亮は怒鳴り声が出てしまいそうなのを押さえ込んで落ち着かせて言う
美「私も早く出してあげたい…でもね、莉奈はとても働く女の子なんだよ。気が利くし、ワガママも文句も一つも言わずになんでもやってくれる…それに今はこの吉原でも人気の高い花魁なんだよ」
亮「そうですか…やっぱり莉奈はどこにいても変わりませんね…」
美「家でもいい子だったのねぇ…心優しい子が吉原に売られるなんて可哀想な現実ね…」
亮「はい…僕がもっと勉強を頑張って家を支えれるような男になってれば莉奈はこんな事には…」
亮は自分のせいだと思い頭を抱え込んで泣きそうになっていた
『亮兄さん…泣かないで』
亮「莉奈!!…起きてたのか?」
『亮兄さんの泣く声が聞こえたから』
亮「っ…莉奈!ごめんなぁ!…本当にごめんなぁ…」
亮は莉奈に抱きつき泣きながら謝る
莉奈は慌てずに抱き返して頭を撫でる
『大丈夫だよ、私はこんな地獄でも輝いてるんだから』
莉奈の青色の瞳が凄く輝いて見える
亮は莉奈の瞳を見て少し照れくさく笑う
亮「一日でも早く…莉奈を助けるよ」
『亮兄さんの事ずっと待ってるよ?』
亮「あぁ」
亮は莉奈に強く抱きついた後に離れて莉奈を犯そうとした男を見る
亮「この男はまだ死んでいない。こいつをどうするんだ?」
美「そうだねぇ…この男はどうしたらいいのか…うちにはどうしようもないよ…」
?「いっそ殺したら?」
『あなたはさっきの!』
女が莉奈に向かってニコッと笑う