第2章 吉原
『フゥ… 』
莉奈は煙管を吸っては吐いていた
ちらちらとバカ男達を見れば、デレデレした顔の男、今にも襲いそうな顔をしている男…沢山いる
だけど、絶対に気持ち悪いと顔に出してはいけない
その代わりに笑顔を向けるが莉奈は無表情のまま男達を見る。
檻の外は天国…
檻の中は地獄…
知らない男が莉奈を指名する
莉奈は煙管を大事にしまうと、建物の中へ消える
そして、客のいる個室へと向かう
個室の襖を開ける
『失礼致します 』
男「おぉ、入れ入れ」
『ご指名感謝致します 』
男「いいんだよ、それより酒をついでくれ!」
『はい 』
莉奈は男にお酒をつぐ
男はそのお酒を美味しそうに飲む
莉奈は無表情でそれを見る
男「やっぱ女が注ぐ酒はうめーな、ほれ、お前も飲め」
男は莉奈にお酒を注ぐ
莉奈は嫌でも客に注がれたお酒は飲まなければならない
莉奈が紅色の唇にお酒を注ぐと男はそれをニヤニヤとイヤラシイ目でずっと見ている
『美味しいです 』
男「ははっ、そうか!…」
客が黙り出した。合図なのかもしれない
『寝ましょうか 』
男「気が利くな」
気が利くんじゃない、こんな悪夢を早く終わらせたいから。心が腐っているんだろうか…腐ってないんだろうか訳が分からなくなる
『…っ 』
莉奈は真正面から男の顔を見た
その顔は吉原では珍しい顔だった
男の顔はまぁまぁ整った顔だった
莉奈が今まで相手にした男は全員整ってない顔
莉奈はビックリした
こんな男が何故吉原へ来るのだろうか
この男なら周りから女が寄ってくるはず
莉奈は、少しときめいたがこの感情をすぐに消した
気づいた頃には男の唇が莉奈とくっ付いていた
『んっ… 』
今日出会った男と一夜だけの偽りの恋…