第2章 始まり
大広間に着くと先程草原で見掛けた顔ぶれが揃っていた。この人達がきっと豊臣軍の重鎮なのだろう。
私は生唾を飲み下し一人一人顔を見た。やっぱりどの人もイケメンだ。かっこいい。きっと私の世界に居たら世間が見逃さないだろう、そんな綺麗な顔。
「遅かったねー。着物、よく似合ってるよ。」
「この着物、相当高いですよね…?いいんですか?」
「着せちゃ駄目なものを一々渡したりしないって!とりあえず俺の隣に座って。」
「ありがとうございます。」
促されるがまま、秀吉さんの隣に座る。視線は常に私に向けられるせいでなんだかソワソワする。程なくして利家さんが声を上げた。
「それにしても、が初めに着てたの見た事ねえ着物だったよなぁ。」
「もしかしたら、異国の着物なのかもー。あっ、ていうことはちゃんって異国の人とか!?」
「…確かにこの国に不慣れな様子はあったが…それにしては、言葉が流暢で違和感があるな。」
「何処の国の者であろうと、郷に入れば郷に従えと言うでしょう。着物位は着られるようですが…。」
「まぁまぁまぁ。気を悪くしないでね。これでもの事を心配してるんだよ。見慣れない格好っていうのは目立つからね。何か厄介事に巻き込まれたら大変でしょ?」
「そうですね、心遣いありがとうございます。」
「ひ、秀吉様!おかしなことを言うのはおやめ下さい。私が、この者を心配しているなどと…。あなたも勘違いしないように!私はただ純粋に、秀吉様のお隣に座るに相応しい格好を、と思っただけで…!」
早口に語る彼は所謂ツンデレというやつかな?初めて見たけど。つい物珍しくて笑いそうになるのをぐっと堪えて小さく咳払いすれば怪訝そうな顔を向けられた。
「…何か言いたげな顔をしていますね。」
「ふふ、すみません。お優しい人なんだな、と思って。」
「なっ……!」
「はいはい、三成もそこまでね。そろそろ仲間の紹介させてよ。まずこの素直じゃない堅物が石田三成。で、そっちの傷だらけの男前が前田利家。」
「……よろしくお願いします。」
「ははっ。秀吉が城に招いたぐれぇだし悪いやつじゃなさそうだ。よろしくな!」
三成さんはまだ何か言いたげだったがぐっと堪えた上で声を上げてくれた。利家さんは正反対に人懐っこい笑顔を向けてくれる。