第6章 逢引
「ねぇ、。城下町へ一緒に行こう!」
宴を終えてから数日。久々にまる1日の休暇を得たのをいい事に刀の鍛錬後、に声を掛けた。彼女は予想通りぽかんと口を小さく開いた後困ったように眉を下げる。
「あの…秀吉さん?姫神子探しは…?」
「大丈夫、それはそれでちゃんとやってるよ。けれど今日は俺休暇なんだ。」
「えっ!?休みなのに付き合ってもらってごめんなさい…!」
「いいよ、他ならぬあんたの頼みだからね。」
「でも…。」
「そんなに気にするなら城下町に付き合ってよ。それがお礼って事でさ!」
「…分かった!でもどこ行くの?」
「んー?特に決めてないよ。と2人でゆっくりしたいなーと思ってさ。俺も準備してくるから、あんたも終わったら門で待っててよ。」
「はーい。」
少し前まで賊の討伐準備でバタバタしていたしこうしてと二人きりでゆっくりとした時間を過ごせるのは、初めてだ。
彼女の世界の事とか、自身の事とか、知りたい事は山ほどある。それに俺の事もしっかり知って欲しい。身なりを整え財布を持って門へ向かうと既にが待っていた。
「それじゃあ、行こうか。」
「…その手は?」
「手くらい繋いでもいいでしょ?」
片手を差し出すと躊躇いながらも重ねられた手をきゅっと握られる。照れ臭いのか視線を下に落としてしまう仕草が、可愛い。普段はあんなに強気なのに。
「何度か城下町には降りてるんだよね。行きたい所とか有る?」
「そうだなぁ…利家と行った茶屋のお団子が美味しかったからまた行きたい!それと三成さんのお手伝いした時にお世話になった本屋さんが有るからそこにも顔出しに行きたいな。」
「いいよ、茶屋の場所は覚えてる?」
「うん!」
「じゃあまずそこから行こうか!」
思い出すように語るは何処か楽しげで少しだけ複雑な気持ちにさせられたけど、この領地を気に入ってくれているのならまぁ…悪い事じゃない。
「ずっと気になってたんだけど、秀吉さんって惚れっぽい性格なの?」
「また随分急な事を聞くね。そう見える?」
「そう見えるというか、初めて会って直ぐに一目惚れとか言ってたから。」