第12章 決議
「それ、いつも言ってるけど…実際に人が集まっても、きゃーきゃー言われてるだけで情報は持ってきて貰えないじゃん。」
「そ、それは…たまたまだ、たまたま。」
「うーん……大丈夫かなぁ…。だんだん、不安になってきた…。」
私はもう慣れたけど、忍びの3人組の言い合いにイマリはなんとも言い難い表情を浮かべていた。でも、やる時はやる人達だし、きっと大丈夫。
「明日、幸村くんと町に行くから情報収集してみるよ。」
「そうだな、厄魔の被害状況も一緒に確認して来るよ。」
「「「えっ。」」」
「えっ。」
ばっ、と振り返った佐助くん、才蔵くん、鎌ノ助くん。信之も少しだけ驚いた顔をしている。
「ちょっと待て幸村、お前彼女といつそんな約束したんだよ!」
「抜け駆けとは美しくないな。」
「ずるい…僕もと散歩したいのに。」
「いや、これには理由があって…。」
グイグイと詰め寄られる幸村くんは困ったように両手を前に出し首を横に振った。
「私が幸村くんを誘ったの。ちゃんと情報収集して来るから、ね!!」
一応助け舟のつもりで言ったが、結局収集つかず幸村くんがひたすら文句を言われ続けるハメになってしまった。ごめん、幸村くん…。
漸く話もひと段落した所で私はイマリと共に部屋に戻った。
「イマリ、秀吉さん達どうだった?」
「はい!えっと…探さないで欲しいって事は伝えたんですけど…探すと仰ってました。それから、総大将の方から伝言を預かりました。」
「秀吉さんから?なんて言われたの?」
「『ひとまず無事でよかった。アンタの事は絶対に探し出して俺の城に連れ帰るよ。あんまり他の男を誑かさない様に。未来のお嫁さん。』だそうです!」
茶釜から取り出したメモらしきものをイマリはそのまま読み上げてくれた。いや、あの人ほんとにブレないというか、変わらないなあ。というか、別に誑かしてるつもりは無いんだけど。
「……本当、馬鹿な人。イマリ、そのメモ貰ってもいい?」
「勿論です!」
渡されたメモは相変わらず読めないけれど、綺麗な文字だというのはわかった。秀吉さんが書いたのかな。
「明日から姫神子様探し頑張ろうね、イマリ。」
「はいっ!よろしくお願いします!」
彼のふわふわな頭を撫で、明日に備えて布団に入った。少しでも、何かしらの手掛かりが見つかりますように。