第12章 決議
厄魔の襲撃から1日が過ぎた。すっかり荒れ果ててしまった城門の辺りを補修すべく、総大将である幸村くんを含む兵皆で朝早くから取り掛かっている。私も手伝うと申し出たところ信之に、兵と同じ仕事は怪我をする可能性があるから、とあっさり断られ代わりにちょっとした手伝いと忍びの3人がサボらないかのお目付け役を頼まれた。
「ふー、ここの修理は、あともうちょっとだな。えーっと、縄と板は…。」
「佐助くん、追加の資材もってきたよ。」
「おっ、ありがとな。助かるよ。こうして見ると城もだいぶやられちまったなぁ……っと。よーし、しっかり結べた。応急処置、終わりだ!」
「……なぁ、もう少し綺麗に直せないのか?なんだ、その無茶苦茶な結び方は。資材があっちこっち向いてしまってるじゃないか。」
「うるせぇよ。お前も見てるだけじゃなくて、を見習ってちょっとは手伝えっつーの。」
「ふぁ〜……眠い。」
「こっちにも手伝わないやつが1人…。お前ら、協調性無さすぎだろ!」
あくせく働く佐助くんとは対照的に若干乱雑に修理される箇所を見ているだけの才蔵くんと大欠伸を零している鎌ノ助くん。これは確かに、お目付け役が要りそうだ…。
「2人とも、昨日の戦いでまだ疲れてるとか?それとも体調悪いとか…。」
「ぜ、絶対違うって!こいつらはただ、作業をやりたくないだけだ!」
「そんな事ないよ、本当に戦いで疲れたせいだもん。……それにしてもさぁ、僕たち、良くあの大群を相手に勝利できたよね〜。」
「フッ。何せ俺が居たからな。はじめから勝利は約束されていたようなもので…。」
「いやいや!倒したのはほとんど幸村だろ!なに自分の手柄にしようとしてんだよ!」
「でも、結構な厄魔も逃げちゃったよね。…また攻めてこられたら面倒だなぁ。お城の補修や片付けと同じくらい、面倒。」
「凄い壊されちゃったもんね…。」
「そうだなぁ、この果てしない廃材の山を見てたら、流石にな…。」
全員の視線はその山へ向き自然と大きなため息が出た。確かにこれを全て片付けるのは面倒だし大変だ。
「全て片付け終わるまで何日かかるのやら。あぁ、この美しくない光景…早く消し去りたいものだ。」
「なんかこう、ぱぱっと早く片付けられればなー。」