第13章 トラヴァースタウン
ペチペチ
ペチペチペチペチ…
私の頬を叩きつける何かがいる…
そこで私自身が目を瞑っていたと思い出し目を覚ますように目を開いた
ペチペチ…
先程から私を起こそうとしていたのか頬をたたく小さなハートレスの姿
そのハートレスはあの花畑で一緒に花冠をつくった優しいハートレスだった
『あ、貴方!今まで何処にいたんですか!』
急にいなくなって、寂しかったとはとても恥ずかしくて言えず真っ直ぐにハートレスを見つめるとキョロキョロと顔を動かしてそしてハグされた
【キミノソバニズットイタヨ】
するとハートレスは指を私の影に指す
理解ができなくて首を傾げれば私の影に吸い込まれるように入っていったハートレス
この子はずっと私の影の中にいたようだ…
もしかしたら色々と大変なことがおきたからずっと潜んでいた状態ででていくタイミングを逃したのだろう
視界には写らなかったけどずっと私の側にいてくれたことが凄く嬉しくて視界が滲む
寂しかった…ソラはキーブレードを持って新しい仲間と共に旅をしてリクとカイリは見つけられずずっと一人で自分の知らないことを押し付けられ騙され裏切られて…
孤独は慣れていたものの剣先を指され信頼を裏切られたことはなかった…とても胸が苦しくて辛くて初めて孤独が寂しいと思った
だからこそずっと側にいてくれたこの小さなハートレスにとても親しみを感じたのだ
私の影からでできた小さなハートレスをおもいっきり抱き締める
ハートレスは最初驚いていたものの何か感じたのか抱きしめ返してくれた
『ありがとう…』
【アタタカイ…コレガココロ】
小さなハートレスが呟いたと同時だった
周りに数多いハートレスが湧き出て私達に何かを求めるようにジリジリと近づいてくる
【カレラハココロヲモトメテ、キミニオソイカカル!キヲツケテ!】
小さなハートレスを守るように私はキーブレードを構えた
いつでもこい!睨みを聞かせて周りのハートレス達に威嚇をした時だった…
「やめろ」
次々とハートレスが消えていく…
アグラバーと似た状況にデシャヴを感じて、ハートレスを操る者に剣先を向けた