第2章 青い運命の島 前編
ぺらり
腰に納めていた大きな紙を目の前に広げればそこにかかれていたのは『手軽にできるいかだ造り』という大きい文字と設計図だった
日差しを避け近くの日陰に入れば設計図を砂の上に置きうんうんと何やら悩んでいる黒髪の女の子がいた
「ノラ」
『あ、リク』
向日葵のような黄色の瞳がみる視線の先にはすみ晴れた空の白い雲に交わることないなめらかな銀色
そして聡明さを表す綺麗な緑色の瞳をもつのは目の前の男の子、彼の名前は『リク』
「おはよう」
『おはようございます』
お互いに挨拶すると彼の視線は『ノラ』と呼ばれた少女でも設計図でもなく周りを見た
「ソラとカイリは?」
『今日はまだ姿を見てませんね。二人の船は街からも出ていなかったのでたぶん島には私とリクだけですよ』
「そうか」
島…いまノラとリクがいる場所は【デスティニーアイランド】と呼ばれる小さな島だった
そしてこの島までは各個人で小さな船をつくりここまで渡っていた…そう遠くない距離でノラやリク、ソラやカイリなど子供達にとっては唯一の遊び場所である
『街から出るときに船の確認しなかったのですか?』
「ああ。ソラはともかく、カイリは来ているもんだとおもっていたから」
『そうですか』
珍しいですね、なんて同調するノラにリクは頷いた
「おーい!リクー!ノラー!」
噂をすればなんとやら…浜の先にカイリとソラがこっちへと走ってきた
「ごめん遅くなって!」
「ソラの船のオールが途中で海に投げ出しちゃって遅れちゃった」
待った?そういうカイリにリクは首を横に振って「俺もいまきたところ」と後付けた
「俺よりノラの方が先にいた」
「そうなんだ!ノラ待たせてごめんね!」
「ごめんな!」
『いえ、設計図の確認してたからそこまで退屈してないですよ。二人が無事、島に来れてよかったです』
そう二人の心配を告げればソラは「今度は手放さないから!」なんて強く決意するけどリクからは「普通は手放したりしない」とからかわれていた