第29章 ???? 前編
再び黒い城の前の城門にたどり着く
二度目の城門は前回とどこも変わらずどこか期待を胸にノラは踊らせていた
『もしかしたらポーンがいるかもしれない…』
意を決して門を力ずくであけるも城門は微動だにしない
私は『ごめんください!』と大きな声で訪ねると微動だにしなかった城門は重く開き私を招いてくれた
『そ、そうですよね…勝手に入ると不法侵入ですもんね
…し、失礼します!』
前と同じように玄関口まで歩いていく…しかし前回とは違う気配を感じて周りをみれば多くのハートレスがこちらの様子をジーッと隠れて見つめていた
なんなんだ、とハートレスの視線を怪訝に玄関口へたどり着く
前とは違いポーンの出迎えはなかった
もしかしたら前回行ったポーンの部屋に向かえば彼がいるのではないか、と思い立って部屋へと私は向かったがそこには姿がなかった
『出かけているのですかね』
「こんなところでどうしたの?主」
鈴のような声が背後から聞こえて振り向けばそこには見知らぬ少女がいた
その少女の姿は私と同じ黒い髪に黄金の瞳…だが彼女の顔、声が【カイリ】であった
『か、カイリ!?』
「…ううん、違う…私はビジョップ
ここは貴方の記憶の中の私」
『!!』
先程のヴィクセンのいうこの城の作りがわかっているビジョップに私は本物?と伺うが首を横に振った
「違うよ、私は貴方の記憶の中にいるビジョップという人物を成形した幻なの」
『…???
えーっと…では記憶の中ってことは貴方は私の過去の知り合いだってことですか?』
「そうなるね…今の貴方では私がわからないと思うけど私はずっと貴方の側で貴方の目覚めと終わりに立ち会ったの」
『それは…ゼムナスとマレフィセントが言っていた闇の王の呪いのこと?』
カイリの姿をしたビジョップがゆっくりと頷く
私はずっと疑問に思ってきたことをビジョップに聞いてみた
『私は、ゼムナスやマレフィセントのいう闇の王なんですか?』
「うん、貴方は闇の王"だった"」
だった?どういうことだと聞くとビジョップは微笑んで「お茶にしない?」と軽く誘ってきた