第5章 ご
ねえ京治、覚えてる?
高校に入って、私が京治に聞いた事。
『好きな人いる?』って聞いた私に、
京治は『いるよ』って答えたよね。
『すごくすごく好きな人』って。
私ね、その瞬間に失恋したんだ。
初恋ってやっぱり叶わないんだ、
なんて思って家で号泣したんだよ。
それから私は、
京治への想いを必死に隠して
いままで通りの幼馴染を演じたの。
そんな私を秋くんが救ってくれた。
なかなか京治を諦められない私を、
それでもいいからって側に居てくれたんだ。
だから、これを機に
あの時に思ってた事、全部言うね。
私は京治の事が大好きでした。
バレーをしている時の真剣な顔、
試合に負けた時の悔しい顔、
ふとした時に見せる笑った顔、
どれも全部全部、大好きでした。
驚いたよね、
今更いきなりこんな事言うなんて。
あの頃の私は、
失恋して幼馴染の関係が壊れるのが嫌で
告白なんてできない臆病者だった。
だけど、ようやく京治の事諦められたの。
私は秋くんと幸せになるよ。
それでも京治の事は
大切な幼馴染に変わりないから。
一方的で自分勝手だけど、
京治の幸せを願ってます。
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