第2章 中編
最近のユーリはよく図書館に籠っていた。
仕事はしっかりこなしているので、特に文句を言うことなく自由にさせている。
一度だけ、彼女が何の本を読んでるのか見に行った。
気づかれないように背後から覗いてみると、机の上に大量に置かれた歴史書が目に入る。
アーデンは彼女が何をしようとしているのか瞬時に悟った。
オレの過去を調べてるんだろうけど、そんなもの何処にも書いてるわけがない。
それを教えるつもりはないが、ユーリの不可解な行動にアーデンは怪訝な表情をする。
恐らく先日の話を聞いて同情でもしたのだろう。
あまりいい気はしなかったが、彼女がどんな行動を取るのか気になったので、好きにさせることにした。
そして次第に帝都の図書だけでは足りないと思ったのか、各地の図書館を周りたいと言い出した。
流石に外に1人で行かせるのは気が引けたので、オレの同行付きで許可を出せば、遠慮なく嫌な顔をされた。
相変わらず期待通りの反応で、何時まで経っても飽きない。
彼女の外出についていけば息抜きにもなるし、何よりユーリと一緒に過ごすのが面白かった。
まさか自分が他人に対してそう思う日が来るとは、あの頃は考えもしなかっただろう。
しかし、何時までも穏やかな時間が流れるわけでもない。
オレには必ず果たさなければならない、復讐があるのだから。