第12章 其の十二★燭台切光忠
小さな口が動かされるたびに、あぁ食べてしまいたいと心の中で呟いて、ついに手が伸びてしまった。
最期の一口を食べ終えた桜華の唇にそっと燭台切の手が伸ばされる。
親指で彼女の唇をそっと撫でれば、不思議そうな顔をして首を傾げる桜華の瞳と視線が重なった。
「主……」
桜華の下唇を軽く押し下げて、ほんのり口を開かせると燭台切はそのまま彼女の唇に自分のそれを重ねる。
自然と入り込んだ舌が、桜華の口内を撫で回し、いまだ慣れない感覚に彼女は燭台切の腕を掴んだ。
「んっ……燭台切さまっ……」
離れた唇から名が呼ばれて、ハッと我に返るが昂ってしまった気持ちと身体を押さえるのは簡単ではなかった。
燭台切は桜華の身体を引き寄せ、そっと抱きしめる。
「僕もお腹が空いたみたいだ」
優しく囁かれた言葉に、桜華は視線を彼に向けた。
「……あのっ」
「頂いてもいいかな?」
燭台切の胸に顔を埋め、小さく頷いた桜華をベッドへと運ぶ。ふわりとした感触が二人を包み込み、最近、歌仙がお気に入りだと言う洗濯剤の香りが舞い上がった。
再び唇を重ねた燭台切は、そっと桜華の着物に手を這わすとゆるりと帯を解いていく。
柔らかく白い肌が露わになり、燭台切はゴクリと息を呑んだ。
合わせていた唇が徐々に下りていき、首から鎖骨へ、鎖骨から胸へと移動する。ひときわ柔らかい胸の部分は今までに感じたことのない感触で燭台切を淫靡な世界へ誘っていった。
荒くなる桜華の息遣いが、時折ピクリと揺れる身体が彼の愛撫を受け入れていると言わんばかりに感じられる。
燭台切は、初めての感触をじっくり味わう様に桜華の胸を下から上へと持ち上げながら揉みしだいた。乳房にもその頂きにも甘い口付けを落としながら、何度も何度も揉み上げる。