第8章 其の八★へし切長谷部
桜華からの褒美が長谷部の理性を吹き飛ばしたのは言うまでもない。今まで我慢に我慢を重ねてきた分、彼女を求める気持ちは強い。
長谷部は、桜華の髪を指で梳きながらもう一度優しいキスを送った。
髪から降りて来た手は、彼女の背中を掠め、そのまま前方へと伸ばされる。薄手の着物の上から柔らかな胸に添えられた手はそっと動き始め、下から上へと揉み上げる様な手つきに桜華は身体を緊張させた。
「主……あなたが欲しいです」
耳元で囁かれた桜華は、返事をする代わりに彼の身体にギュッとしがみつく。
拒む理由もない。長谷部にはいつも世話になっているし、自分が刀剣達に霊力を注ぐこと、彼らから神気を分けてもらう事は自分の仕事でもある。
ただ、この行為が恥ずかしいのは変わりのないことだし、まだ加州としかこういった事をした事がないのも事実。
ここは長谷部に身を委ねるしかないと思った桜華は彼に視線を合わせて彼を求めた。
長谷部が彼女の神気ではなく、彼女自身を欲しているとも知らずに……。
「主、何を考えていらっしゃるんですか?」
桜華の身体に手を這わせ、時折口づけを交わしながら長谷部が囁く。
いつの間にか露わにされた胸はその先端を硬くさせ主張を強めていた。唇から胸先へと下りて行った長谷部は、彼女のそこへそっと吸い付く。
桜華の身体がピクリと跳ねるので、その反応がかわいくてついついイジメたくなってしまう。
長谷部の手と舌で解されていった身体はすっかり彼のものへと色づいていた。
するりと解かれた帯が床に力なく垂れれば、薄い下着のみを残し全てを長谷部にさらけ出す形となる。
恥ずかしさがこみ上げて、桜華は身体を小さく丸めた。そんな桜華を包み込んだ長谷部は、そのままそっと彼女を抱き上げてベッドへと運んだ。
「続きをしてもよろしいですか?」
長谷部の問いかけが覆いかぶさり、桜華は顔を上げる。
優しい口付けが落ちてきて彼女は再び体の力を抜いた。
「長谷部様……」
彼の名前を呼びながら、手を伸ばせばそっと長谷部がその手を取って手の甲へと口づけをする。