第6章 其の六
口づけは愛情表現で、決して自分の力不足ではないと言われたことが嬉しかった桜華だが、恋愛指南書を見れば好きな相手とする事であると書いてある。
本丸にいる彼らの事は皆好きで嫌いではない。
複数の相手とすることは良いのか悪いのか……頭を悩ませていれば、突然目の前にこんのすけが現れた。
「考え事に精が出るようで」
なんとなく一言多い気がするのは気のせいだろうかといつも思うが、そういう所もあまり気にしないのが桜華の良いところである。
そして、こんのすけに複数の相手とキスをするのは良いことかと尋ねてみた。
「主殿……それを私めに聞くのは如何かと思いますが……しいて言わせていただければ、前日も申しました通り、皆に平等にしてさしあげてください。刀剣達のレベルも上がりやすくなりますゆえ」
そういう事になるらしい……納得いったようないかない様な複雑な気分だ。
そして加州と行った行為は人間同士であれば子を成すための行為であると理解していたが、刀剣男士との間に子は出来ないらしい。
あくまでも神気の受け渡しだそうだ。これまた審神者として必要な行為であると念を押されたのは言うまでもない。
桜華は自分の特殊な霊力を今ほど恨めしいと思った事はなかった。あれは、恥ずかしさの極みである。
しかし、まだ加州としかしたことがないので、これ以上求められないことを願うしかない。
「こんのすけ?刀剣男士は一体どのくらいいるのですか?」
今さらそんな質問をされたことに驚いたが100くらいだろうかと言えば桜華は大きくため息をついた。
「先が長すぎますね……」
「出陣に備えお願いいたしますぞ」
こんのすけの言葉に頷いた桜華は、一日二振りを解禁してもらえるよう男士達に頼みに行ったのであった。