第5章 其の五
雀の鳴き声を目覚めの音にして、桜華がそっと瞼を開けば隣でぐっすりと眠る加州の顔が見えた。
昨晩の情事を思い出して顔を赤くしたのも束の間、加州も目を覚まし唇を塞がれる。
「おはよう、主」
「おはよう……ございます」
衣服を身に着けていないことに慌てて寝間着を探す桜華は、ベッドの下に放られていた自分のそれを発見し手を伸ばした。
「主、朝から誘ってるの?」
気付けは加州に自分のお尻をつき出すような格好になっている。
「ちっ…違いますっ」
慌てて訂正して、自分の寝間着を手繰り寄せ軽く羽織ったまま浴室へと向かった。
「かわいい」
そう呟いた加州は自分も寝間着を羽織り直して自分の部屋へと戻っていく。
神気を交わし合うと体調が良い。愛を確かめ合う行為と同時にその効果は抜群だ。あまり無理をさせるつもりはないが、刀剣男士が増えれば増えるほど彼女の愛を自分に注いでもらう術を考えなくてはならない。独り占めをするつもりはないが、いつまでもかわいい主を自分の手で愛でたいというもの本心だ。
加州は赤い爪紅を弾きながら軽い足取りをみせていた。