第8章 祈りと願いと 前編 (光秀×舞) R18
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その日、2人は一睡もしないまま朝を迎えた
舞は少し気怠げな身体を光秀の胸元に重ね、サラサラの銀髪を手で梳き、弄ぶ
「どうした。髪が気になるか?」
「光秀さんの感触を、沢山覚えて置きたくて…」
「さっきまで、愛してやっただろう?まさか、物足りなかったのか?」
「ちが…っ、そうじゃなくて…っ」
ワザと揶揄うように言うと、顔を真っ赤にして怒る舞
光秀は、そんな舞の唇に優しく口付けを落とした
「そろそろ仕度をするか。家臣達も待っている頃だろう」
光秀は起き上がると、着物をさっと羽織り身支度を整える
「後で家臣に安土城まで送るよう伝えておく」
「はい。光秀さんも、どうか気をつけて…」
光秀の背中を見送り、舞もゆっくりと起き上がると身支度を整え門へ向かった
門では、家臣が舞を送るべく待ってくれていた
「舞様、安土城までお送り致します」
「はい。有難うございます」
「暫く、寂しくなりますね」
舞を気遣い声をかけてくれる家臣に、舞はにっこりと微笑む
「大丈夫ですよ。御殿に残ってくれているみんなもいるし、安土城には信長様やみんなもいますから」
だから、大丈夫
私は信じて待っていられる
ジワリとまだ熱を持つ首筋に手を当て、舞は前を向き歩き出した
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