第8章 祈りと願いと 前編 (光秀×舞) R18
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「こうして、朝まで寄り添って話すの…初めてですね」
情事を終えた後、舞は光秀の腕に抱かれながら静かに口を開いた
「まぁ、そうだな。お前は、愛した後…すぐに眠ってしまうだろう?」
「そ、それは光秀さんが…その…っ」
「俺が何だ。言ってみろ」
くすくすと笑いながら、意地悪な笑みを浮かべ見つめている琥珀の瞳をジッと睨む
「もうっ、光秀さん…意地悪です…っ」
「くくっ、怒った顔も愛らしいな、お前は」
腕の中に閉じ込め、優しく頭を撫でると舞の香りがフワッと広がり、胸がじわりと熱くなった
「まさか俺が籠絡させられる日が来るとは思ってなかったが…お前の隣は悪くない心地だ」
いつもは言えないような言葉
それを、今日は何故か素直に伝える事が出来た
暫く会えなくなるからという理由ではない、焦りのような感情が胸の中に芽生え、想いを言葉にして伝えなければと本能が訴えてきたからだ
そんな想いを払拭するかのように、舞は光秀の顔を見上げ、ふわりと優しい笑みをこぼした
「光秀さん…無事に帰って来て下さいね。私、ずっと待ってますから…」
「舞…」
「光秀さんに会えないのは凄く寂しいです。でも、光秀さんは私が少しでも寂しくないように、安土城で過ごす事を信長様にお願いしてくれたんですよね。だから…みんなと帰りを待ってます」
「ああ。すぐに迎えに行くと約束しよう。不本意だかが…何か困った時は秀吉を頼れ。文を書いておく」
「ふふっ、光秀さんが秀吉さんに文を書くなんて、明日は嵐が来そうですね!」
すっかり笑顔になった舞を抱きしめる腕に力を込める
そのまま唇を重ね、別れを惜しむように朝まで互いを求め合い、熱を分け合った
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