第8章 祈りと願いと 前編 (光秀×舞) R18
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安土城へ着くと、門の前で秀吉さんが待ってくれていた
送ってくれた光秀さんの家臣にお礼を告げ、秀吉さんの元へ駆け寄る
「こーら!走るな。危ないっていつも言ってるだろ?」
苦笑いをしながら、秀吉は舞の頭にポンと手を乗せた
久しぶりの感覚に胸がじんわり熱くなる
「わざわざ待っていてくれたんですか?」
「兄が妹を待つのは当然だろ?まぁ、待ってるのは俺だけじゃないけどな」
「そうなんですか?」
「ああ。信長様が、今日は舞を迎える宴を開くと言い出したからな。政宗は朝から張り切って料理を作ってる」
「信長様が?!政宗も…」
「それだけじゃあないぞ?俺や三成も、朝から仕度で大忙しだ。それに、家康のやつは朝から城下にお前が気に入ってる菓子を買いに行っていた」
「えっ、あの家康が?!」
「ああ。みんながお前を待ってる。早く荷物を置いて、広間に行くぞ」
秀吉は、舞の風呂敷包みを取り、ヒョイっと抱え上げた
「それくらい自分で持てるよ…っ」
「いいから、黙って甘えてろ。今日はお前が主役なんだからな?」
目尻を下げ優しく微笑む秀吉に、舞はくすりと笑みをこぼした
「じゃあ、お言葉に甘えて…。有難う、秀吉さん」
「おう。いつでも頼れよ?」
変わらない秀吉の優しさに心が温かくなる
部屋へ着くと、半年前まで過ごしたそこはそのままの状態で残されていた
信長の優しさに触れ、更に胸がジンと熱くなる
舞は部屋に荷物を下ろすと、瞳を潤ませながら秀吉と共に広間へ向かった
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