第7章 あんたは全部、俺のもの (家康×舞)
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その時だった。
足早に駆け寄ってきた家康が、三成を突き飛ばした
「っ、家康様?!?」
「お前、舞に何しようとしてんの!?こんな所で押し倒すとか、いくらお前でも許さない!」
「っ、家康…!それは…っ」
「あんたは黙ってて。この際だからはっきり言っとく。これ以上舞に触れたら誰だろうと容赦しない。舞は俺のもので、誰にも渡すつもりなんてないから」
瞳をギラつかせ、感情を剥き出しにして言い放つ家康を三成は黙ったまま見つめている
舞も驚いて、目を見開いていた
「舞、行くよ。立てる?」
「あの…っ、腰を打ったみたいでちょっと…」
「じゃあ、俺に掴まって」
家康は舞を抱き抱えると、稽古場から出て行った
三成は、何が起こったのかわからず放心状態になる
激昂した家康を見たのは初めてだった
いつも冷静で落ち着いた印象とは違う家康の姿に、現状を受け入れられず呆然となる
「家康様と舞様が恋仲…」
それを理解すると同時に、自分の中の想いをも理解し、胸が締め付けられた
叶うことのない想いを胸に抱きながら、三成は暫くその場を離れる事が出来なかった
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