第5章 守りたいもの 後編 (光秀×舞) R18
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「帰るぞ、舞」
普段と変わらない声。そっと差し出された手。
舞はその手に自身のそれを重ねると、しっかりと想いを込めて握り返した
「光秀さん…っ、私、また一緒に住めるんですね」
「また、ではない。これから先ずっとだ。舞は信長様より正式に貰い受けたのだからな」
「っ、はいっ、光秀さんのお役にたてるよう頑張りますね!!」
「舞、何か勘違いしていないか?俺は確かに貰い受けたと言ったが…お前を世話役として貰い受けたつもりはないぞ」
「えっ、どういう意味ですか?」
キョトンとした瞳で光秀を見つめる舞
「お前の鈍さは三成並みだな。とりあえず、みなが待っている。御殿へ戻るとしよう」
半ば呆れたような表情を浮かべながらも舞の手を離さずに御殿への道程を歩いていると、舞は急に立ち止まって空を見上げた
「どうした?」
「今日って満月なんですね!綺麗…」
舞の何気ない一言で光秀も夜空を見上げると、そこにある月は真っ直ぐな輝きを放っていて
暗闇で光を放ち輝く月は何よりも眩しくて、まるで舞のようだと思った
「ああ、綺麗だな。今宵は月見酒でもするとしようか」
「ふふっ、呑み足りなかったんですね?」
「まぁ、そんな所だ」
舞の無邪気な笑顔に、光秀はフッと笑みを浮かべる
そして、ふたりは御殿へ向かい再び歩き始めたのだった
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