第5章 守りたいもの 後編 (光秀×舞) R18
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信長は、すっかり言葉を失ってしまった舞を暫く見つめた後、真剣な眼差しで光秀の方を見た
「光秀。此度の貴様の働きに、1つ…褒美をくれてやろう。欲しいものが、あるだろう?」
「信長様…それは…」
「早く言わねば、俺の気が変わるかも知れんぞ?」
「では…恐れながら申し上げます。此度の褒美に…舞を頂戴したく存じます」
「えっ、今…何て……」
光秀の言葉に慌てて顔をあげた舞
そんな舞を、光秀はいつもの優しい眼差しで見つめていた
「舞、光秀はお前が欲しいと申しておるが、貴様はどうなのだ」
「っ、私は…。私は…光秀さんの傍にいたいです…っ。離れたくない…っ」
視界が滲み、溢れた涙が頬を伝い零れ落ちる
「最初からそう言え、阿呆」
信長は、舞の涙を指で拭いながら、フッと穏やかな笑みを浮かべた
そのまま視線を光秀へ移すと、その瞳は舞の涙を拭う信長の指先へ向けられている
わかりやすく嫉妬している光秀に、信長はにやりと口角をつりあげた
「貴様、そのような顔もするのだな。なかなか良いものが見れたわ」
「申し訳御座いません。ですが、その役目はたとえ信長様でも譲れませんので」
今まで感情を表に出す事が無かった光秀とは思えない、牽制ともとれる発言にククッと喉を鳴らす
「ならば貴様はこのまま舞を連れて御殿へ下がれ。明日は暇を与えてやる」
「はっ、有難うございます。では、御前を失礼致します」
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