第5章 守りたいもの 後編 (光秀×舞) R18
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夜が明け、朝がやってきた
まだ、みんなが戻ってくる気配はない
気持ちを強く持ちながらも、不安は少しずつ広がってゆく
「どうか、みんな無事に帰って来て…」
祈りながら待っていると、暫くして御殿の門が開いた
どきん、どきんと煩いほどに高鳴る鼓動
必死に駆け出しみんなの元へ向かうと、そこには、舞がずっと会いたいと思っていた人がいた
堪えていた涙がぽろぽろと零れ落ちる
光秀は馬を降りると、舞の元へ駆け寄り、溢れる涙を拭った
「そんなに泣くやつがあるか。信じて待っていろと言っただろう」
「っ、信じて…ました…!ちゃんと…っ、信じて…っ」
涙で言葉が出せない舞の頭を撫でながら、笑顔を向ける
「ああ…それと吉報だ。戦は織田軍の勝利で終わったぞ」
「っ、おめでとうございます…っ。あっ!!私、みなさんが帰ってきた時のためにおにぎりを作ったんです!皆さん、本当にお疲れ様でした。庭の方へすぐ用意しますので、皆さんしっかり食べて下さいね!」
「舞様っ、有難うございます…!!」
「無事に帰って参りました!舞様!!」
「舞様!!!」
あっという間に舞の周りに人だかりが出来、光秀はその光景に驚き、目を見開いた
「九兵衛、この騒ぎは何だ」
「はい。実は…御殿を出立する際に、舞様が皆に声をかけて下さったのです。誰一人欠ける事なく、無事に戻ってきて下さいと。そして…最後まで光秀様を支えてあげて下さいと…」
「舞がそんな事を…」
「舞様のおかげで、士気も上がりました。このような姫様は他にいらっしゃいませんね」
嬉しそうに話す九兵衛は、皆を引き連れ、急いで庭へと向かっていった
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