第5章 守りたいもの 後編 (光秀×舞) R18
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一方、舞は。
光秀が城に登城した後、周りが急に慌ただしくなった事に気が付いた
「九兵衛さん、これは…」
「舞様…!戦の仕度でバタバタしておりまして…。煩くして申し訳ありません」
「っ、戦が始まるんですか?!もしかして、光秀さんも…」
「はい…。ですが、どうか光秀様を信じて待ってあげて下さい。光秀様は、舞様をとても大事に思ってらっしゃいます。もし、舞様も光秀様を同じように思って下さるなら、どうかお願い致します」
「九兵衛さん…」
「では、これより安土城へ向かいます。行ってまいります、姫様」
「っ、はい!皆さん、どうか御武運を!」
私はみんなと一緒に行く事は出来ない。ならせめて、みんながまた無事に帰ってこれるように祈りながら待っていよう。
「誰一人欠ける事なく戻って来て下さい!そして、光秀さんを最後まで支えてあげて下さい!」
ありったけの思いを言の葉に乗せて、みんなへと伝える
それを聞いていた光秀の家臣達は、キリッとした表情になり舞の前に膝をついた
「はっ!有難き御言葉っ、光秀様と共に、必ず舞様の元へ戻って参ります!」
皆の気持ちが一つになり、士気が上がった明智軍は、安土城へ向かい出立した
舞はその後ろ姿を見送りながら、光秀がどれだけ部下に愛されているか、信頼されているかを実感していた
不思議と、不安は消えていた
舞は決意を胸に急いで厨に向かった
「みんな疲れて帰ってくるんだから、おにぎりを沢山作って、みんなの帰りを待とう」
みんなの無事を祈りながら、作り続ける舞の前には、次々と沢山のおにぎりが出来ていった
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