第4章 守りたいもの 前編 (光秀×舞)
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それから数日が過ぎ
舞の看病のお陰か、光秀の傷口は完全に塞がり、痕はまだ残っているものの無理なく動かせるまでに回復していた
「もう、薬はなくても大丈夫そうですね」
「ああ。そのようだな。こんなに早く治るとは…お前のお陰だな」
「っ、どうしたんですか?!光秀さんらしくないですよ!」
「お前は俺を何だと思っている?感謝の言葉を述べただけで珍獣扱いとは…」
「そ、そんな風に思ってません!ちょっとビックリしただけです!」
「そうか。お前はそんな事で驚くのだな。覚えておこう」
「またそうやって揶揄って…。でも、元気になって安心しました。後は、精のつくものを食べて体力つけなきゃいけませんね!」
さっきまで頬を膨らませていた舞が、ふふっと穏やかな笑顔を浮かべて見つめてくる
ただそれだけの事に、光秀はこの上ない幸せを感じていた
舞を守る為に始めたこの生活がいつしか当たり前になっている事にも気付かずに。
そんな二人がいる部屋に、神妙な面持ちをした九兵衛が申し訳なさそうに入ってきた
「舞様、申し訳ございません。急ぎ、光秀様にお伝えしたき旨が御座いますので、暫く席を外して頂けますか?」
「あっ、すみません。じゃあ、私は部屋に戻ってますね!」
「すまないな、舞」
「ふふっ、光秀さんはさっきから謝ってばかりですね。お仕事の邪魔はしませんから安心して下さい」
くすくすと笑顔を浮かべながら、舞は光秀の部屋を出て行った
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